7. 思考の錯覚と認知バイアス
錯覚の科学 ('14)
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7. 思考の錯覚と認知バイアス
7-1. 体験が生み出す思い違い
共変性の認知:2つの出来事がともに変化しそこから両者の関係性を認識すること
行動随伴性の学習:学習心理学において行動の結果として環境に起こる変化を学習すること
出来事の共変性(随伴性)を経験し、そこから新たな知識が帰納的に学習されるパターンは重要。
前後即因果の誤謬(post hoc 錯誤):前後関係のみから因果関係を見出してしまう考え方
一致と差異の併用法:比較から関連性を捉える考え方
∆P方略:共生起事例だけではなく比較対象条件を合わせて全てのセルを評価する
2つの出来事が連続して発生した場合に関連性を正しく認識するためには全てのケースをカバーした4×4のクロス集計表で検討する必要がある。
セルA方略:共生起事例(A)のみに注意を引かれてしまい、他のセルがどうなっているのかをあまり考慮せずに関連性を判断する
錯誤相関、幻相関:関連性の錯覚
迷信的思考・雨乞いの例:日常的な出来事はほとんど注意が向かず、日常経験には雨乞いをしたら雨が降ったという事例のみが強く記銘される
実際に存在しない関係性であっても客観的な観察をもとに発見してしまう
体験が根拠なので強いリアリティがある
大集団より小集団は目立ち、犯罪行為も目立つので錯誤相関が生じやすい
マイノリティが犯罪を犯すと両者の間に関連性があるように感じられる
比較すべき情報に目を向けず、目立つ特徴的な例のみが認知されて起こる
錯誤相関につながる思考の働きを認知の欠陥のみとして捉えるべきではない
限られた経験から効率的に学習や推論を進める認知システムの働き
限られた特徴的な情報のみから素早く結論を引き出す簡便的な思考方略をとる方が有利に働く
それでもおおよそ実用的に問題のない判断を短時間のうちに下せるのが人の優れた能力
7-2. 期待と体験によって強化される「思い違い」 確証バイアス
自分の仮説を確かめるためには確証と反証の2つがある; 考えが正しいければYesが確証 考えが正しければNoが反証
2-4-6問題:多くの人が確証方略で時間をかけるが実は反証方略の方が早く法則性を見出せる
人は確証には注意を向けるが、反証にはほとんど注意を向けない
確証バイアス:人が現在持っている信念、理論、仮説を支持し、確証する情報を求め、反証となる証拠の収集を避ける基本傾向
類似概念:確証傾向、一貫性傾向
ただし、エバンスによれば、2-4-6問題は肯定性バイアスによるもの(確証の動機付けではなく、反証情報の利用が考えられない認知的失敗の表れ)
確証バイアスは適応的なバイアスでもある
文脈効果:全く同じ文字でも文脈によってBと13とすんなり読める
確証バイアスは効率的に意味のある情報を読み取って処理するという人間にとって欠かせない働きをする
7-3. 錯誤相関と確証バイアスの連携ループ
錯誤相関の発生はボトムアップ的
確証バイアスはトップダウン的に錯誤相関を強化する
このトップダウン処理とボトムアップ処理の組み合わせは最初の予期や信念を強化するフィードバックループを形成する